岡倉天心「茶の本」を読む   若松英輔

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岡倉天心先生の「茶の本」を再解釈する。



言葉は生きている。
生きていなければ、どうして言葉が人間の魂を揺り動かすことがあるだろう。
生けるものを感じとるのはやはり、生けるものである。
言葉は、受容されるとき、その姿を変じる。
 
言葉は、真実の意味で読まれることを待っている。
真に言葉を読むとき読者は、言葉の奥に潜む、生ける意味の存在を感じる。
言葉の奥に、不可視なもう一つの「コトバ」を見る。
このときコトバは、単なる記号ではなく、うごめき、躍動する何ものかである。
だからこそ、人が本を選ぶのではなく、本が人を選ぶということすら起る。