許永中日本の闇を背負い続けた男  森功



「闇の伝達人」でスタートします。

許永中にあるのは、「闇の伝達人」としての機能でしかなかったのではないか。
それを察知した連中は、彼を利用し、やがて去っていった。むろん、日本社会が闇の世界と完全に切れることはないかもしれない。ただ、許が必要とされてきた高度経済成長期やバブル期の「闇の伝達人」という役割は終わった。
ふと気づいてみると、日本社会は変貌し、在日が活躍できる土壌がうまれつつある。在日韓国人実業家や映画監督、俳優やシポーツ選手、学者。一流企業で活躍する在日韓国人も少なくない。あらゆる分野で門戸が開かれつつある。
「トンネルの出口は断崖絶壁だった」
許永中はそう語った。アウトローから抜け出せなかった在日の二世は、じつは自ら歩んだ道を自覚していたのかもしれない。