日本美術の歴史

by



日本美術の歴史    辻 惟雄 著



奇想の系譜でもおなじみの辻惟雄先生の著書
とりあえず豪華!装幀が横尾忠則さん!
オールカラーに近い、殆どの頁に美術作品の写真が挿まれてます。
内容は



第一章 縄文美術 原始の想像力
第二章 弥生・古墳美術
第三章 飛鳥・白鳳美術 東アジア仏教美術の受容
第四章 奈良時代の美術(天平文化) 唐国際様式の盛行
第五章 平安時代の美術(貞観・藤原・院政美術)
第六章 鎌倉美術 貴族的美意識の継承と変革
第七章 南北朝・室町美術
第八章 桃山美術 「かざり」の開花
第九章 江戸時代の美術
第十章 近・現代(明治ー平成)の美術




449頁で何千年もの美術・思想を遡るのですから速い早い。
でも一気に読めます
なんといっても、最後の頁にある「作品名・事項索引」がいいですね〜。
あかさたな順で古今の作家、作品、キーワードが検索できるという頁。
これいりますよ〜。

歴史順での美術、思想の遡りなので、遡り方は他の本も一緒なのですが、
この本は作品にスポットをあてて、それにその時代の背景と思想を落とし込んでる点。
まあ一緒なんですが、「この時代に創られたのはこの作品!」ではなくて、
「この作品が創られたのはこういう時代!」ってところ
僕は工芸の仕事をしているからやはり、奈良・平安・鎌倉時代が好きです。
漆はこの時代に技法・表現法がすべて完成されたといわれていて、
現在の漆の技法(製作法・道具)はこの時代から変わっていません。




歴史の前に、美術とはなにか?をとりあげている
「美術」とは、明治のはじめ、西洋のfine artを日本語に訳してできたものであり、それ以前からあった概念ではない。それに類する言葉としてartに対する「技芸」があげられる。
絵画と書は「書画」として一緒になっていた。彫刻という言葉もそれ以前にはなかった。工芸は絵画ともども「工」の概念のなかに収まっていた。建築、庭園も明治の新造語である。
「美術」は、その他もろもろの文化、学術の用語とともに西洋生れの概念にほかならない。だが「日本美術」といった場合、その中身は国産品である。江戸時代までの国産の「もの」のなかから、明治の偽政者が何と何を「美術」に選んだかの問題がそこに生じる。「書」のように、「美術」や否やの論争がかつてり今もなお決着をみない分野もある。幕末の民衆に歓迎された松本喜三郎の生人形のように、「美術」の選に漏れて世に埋もれてしまった「もの」もある。こうした問題が美術史家の間で取りざたされいる。

こうしたややこしい〈概念形成史〉の問題を冒頭から持ち出すと、それがいったいどうした?と、ことほど左様に、いまの私たちは「美術」の概念になじんでしまって、いまさら別の言葉をさがせといわれても困る。たとえば「造形」にしてもどうも使いにくい。当面方法は、「美術」という言葉をそのままにしておいて、中身を柔軟にかえてゆくよりほかにないのではないかー。と


langdon warner の「永続する日本美術」の序文で、
(日本美術の)変化のあわただしさは、私がいつも感じていることを強調するように思われる。それは消えたかと思うとまた不意に、新しいがそれとわかる、別の流儀であらわれ、前にそれが別の気分でそこにあったことを確信させるところの、日本美術の永続的な傾向である。と書かれています。